全身を走る猛烈な快感―はじめての無我体験その5(終)

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呼吸を繰り返すたびに、



全身に猛烈の快感が走っていく!!


それは、いわゆる性的エクスタシーの類に

近い、肉体的快感だった、 


空気が僕の鼻・口・喉・肺・血管・・・

すべての器官を愛撫しながら巡って行った。

それは、呼吸のたびに、

何度でも再現された!


驚く暇もなく



僕は呼吸の快楽に夢中に

なっていた、



そして、

目から出る涙は

僕の何かを浄化していた。

(いったいどれくらいの涙を流したのだろうか・・)



なんという恍惚感、多幸感、安心感 浄福感なんだろう! 



それは間違いなく、

いままでの人生でもっとも強烈なエクスタシーだった。




僕はなんとかこの状態をキープできるよう意識した、

<<何の迷いもなく、このまま永遠に入りたいと思った>>




しかし、

そうはうまくいかず・・・




徐々にそれは醒めてきて、

素の精神が顔を出し始めてきた、




それらの感覚は、

ゆっくりとフェードアウトして・・・


気付くと、

周りの風景が色彩が重くなり、

肉体に制限された重たい意識がボンヤリと戻ってきた。


・・・、
 
間違いなく、いつものエゴや欲をもった 
自分に戻っていた。 


そうして僕の無我状態のような出来事は

終わった。




まず残念に思ったのは、 

すべてへの愛と感謝に満ちた精
神が 


普通に戻ってしまったことだった。 



たしかにその時、



あのキラキラ輝いていた何気ない日常の

素晴らしさを痛感した・・・



僕はその心の持ちようを知った、

でも・・・しかしそれは戻っていた、



残っていたのは、

確かに、そう思ったという・・・


<<本当の深い自分は、そう思ってるんだ、>>

という「記憶」だけだった。



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