時が来た!

cristishiki.jpeg『キリスト意識–ある神秘探究家の自叙伝』


特に発売を待っていた訳ではなかったのだが、読み終わってみれば、この本は、私にとって「待望の書」であった。なぜなら、私は20年も前から、ヨガナンダのファンであったからである。

アメリカ生まれの著者は、うらやましいことに晩年のヨガナンダから直接指導を受けた人物であり、そんな著者の自叙伝であるこの本の中には、貴重なヨガナンダの教えが生の言葉でたくさん記されてあった。

スピリチュアル系を自負される方の中には、このヨガナンダの著作『あるヨギの自叙伝』をご存知の方も少なくないと思う。
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私がこの本を読んだのは、今からちょうど20年前のこと。聖書やバガバッド・ギータ、コーランなど、洋の東西を問わず、「聖典」と呼ばれるものを片っ端から読破しようと意気込んでいた頃のことだ。
当時まだ学生だった私は、長い夏休みの大半を費やして、この本を読破したのだった。とても大きく、分厚い本で、重すぎてとても手に持っては読めない。だから、文机に寝かせて置いて、額に汗を垂らしながら姿勢を正して一心に読んだものだった。
そこには、純粋な心で真理を探究するヨガナンダの、奇跡に満ちた生涯の物語が微に入り細にわたり綴られていて、「こんなことが、実際に起こりうるのだろうか?」と、何度となく驚嘆しながらおそるおそるページを繰っていたことを今でも鮮明に思い出す。その文章には、微塵たりとも読者への煽動や強制といった意図は含まれておらず、読み進むほどに自分自身の純粋な克己心や謙虚さが呼び覚まされていくばかりの、極めて清浄な本だった。

ヨガナンダは、インドに伝わるヨガの技法を西洋に伝承した、大変偉大な人物である。彼の死後、その遺体が長期間にわたり腐敗の兆候を示さなかったという奇跡でも広く知られている。
その彼の死の前後の様子、そして死後の復活の事実が、この『キリスト意識』の中に、克明に記述されている。これだけでもこの本の意義はとてつもなく深い。

けれどもこの本の内容は師・ヨガナンダとの会話記録にとどまるものではなかった。
著者は、ヨガナンダの成し遂げ得なかった夢を達成するべく、師の遺志を継いで、新たな人生を勇敢に切り開いていく。
その過程で、著者は、ヨガナンダの体験した奇跡をも凌駕するほどの驚嘆の出来事を何度となく体験していくことになる。
臨死体験、宇宙船搭乗、闇の勢力との戦い、人類と神々の歴史情報・・・
後半へと読み進むほどに、この本が単なる自叙伝の域を遥かに超えていることに気づかされる。にわかには信じがたい超常体験の数々に、読者は時空を超えた不思議な既視感を感じさせられることだろう。そう、これはどこかの誰かの物語ではない、読者である自分をも包含した「私たち」の、まだ終わっていない物語なのだ!

この本は、読者の魂に直接呼びかけるために書かれたシグナル、「目覚めよ、時が来た!」と知らせる、ラッパの音色なのだろう。

(編集部)

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