さあて、先週はいろいろ愛着があって、「これがなきゃ」とか、「あとでまた、お世話になるかもしれないから」と、ずっと取っておいたものでも、いつかは「卒業するとき」が来る、というお話をさせていただきましたが、読者の皆さまはいかがですか。思い当たることはございますか。

では、その「卒業するとき」とはいつなんだ、という話になるんですが、これは心の奥底でなにかが「もういいよ。手放そうよ」と合図してくるんですよね。どんな合図かと言いますと、私の場合は、前に申し上げましたようにテレビで断捨離特集をやっていて、それを見たことがひとつの合図といいますか、きっかけですね。

他には、たまたま同じ時期、ラジオで中崎タツヤさんという漫画家が書いた、『もたない男』（飛鳥新社）という本を取り上げていたことですか。「捨てずにはいられない、超『断捨離』の世界」というキャッチコピーどおり、何も持たない生き方を紹介していました。

さっそく本屋さんに行って、パラパラめくりますと、本当にすさまじいほど余計なものがない世界を映し出しているのです。仕事用の椅子だって、背もたれが不要とかいって、ただのスツールですし、パソコンだって処分しています。いつでも引っ越しＯＫ。というより、いつでも引っ越し前状態。不動産屋さんで物件を紹介してもらうときの、あのがらんどう状態ですね。

潔すぎてついていけないけれど、その徹底ぶりに刺激を受けました。と、そこへ田村珠芳さんの『宇宙人と闇の権力の闘いが始まりました』（ヒカルランド）という本の中の一節が、私を断捨離へと駆り立てます。

「なにが起こっても不思議ではない時代です。身の危険を感じたら、10分で家を出られるようにしておきましょう。家を出るときの持ち物は、大したものは必要ではありません。（中略）

何が自分にとって大事かを選別するチャンスです。時間は10分しかありませんし、とにかく自分が持てる範囲のものです。金の延べ棒を持っていても、重くて邪魔になります。車で逃げるのはまず無理でしょう。交通が遮断されます。自分の手で持てるものしか、運べません。最後は透明になるのですから、執着は捨てましょう。」

お～、ライトボディになるのか。執着している場合じゃないのか。そして、断捨離へと相成りました。

（前田アキコ）

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