東日本大震災慰霊法要におけるダライ・ラマ法王のお言葉

dalailama.jpg4月29日、ダライ・ラマ法王が、日本において東日本大震災の四十九日の慰霊法要を護国寺にて行われ、その様子はダライ・ラマ法王日本代表部事務局のウェブサイトから、インターネット中継されました。

その中で、ダライ・ラマ法王が日本へ向けてお言葉を述べられましたので、その内容をご紹介します。

以下は、ダライ・ラマ法王のご挨拶からの一部抜粋であり、要約であります。
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日本のみなさま、この大震災によって被災された方々がたくさんおられると思いますが、そのような中、多くの方が尊い命をなくしています。
このようなひどい苦しみを味わってこられ、そのような中、みなさまがた全てに心からのご挨拶を申し上げます。

そして、日本の震災のニュースは世界的に報道され、私もダラムサラでニュースをみて、心にひどく悲しみが湧きました。

私たちはどこにいても、苦しみを避けたい、幸せになりたいと望んでいます。
構成要素がバランスを崩して起こった自然災害、このようなことが起きて悲しいです。
原発による災害は私たち人間が作り出した問題です。

日本は仏教国であるということ、そして、私の多くの友人が居る国であるということ。
今、私にできることというのは、ここに来て法要をあげることしかないと思いました。
大惨事の時には、般若心境を読む、法要をすることで、みなさんのお心を慰めることができます。

3月14、15日。タイから来た仏教徒の方々と、ダラムサラで法話をおこなっていました。タイは上座部仏教ですが、同じ仏教徒です。そこで私は被災地において被災された方のために、ダラムサラの在家の全てのかたに、般若心境を10万回唱えて欲しいとお願いしました。

私個人の思いを話すと、心に困難がやって来るとき、自分の知っている人が来て、「心配しなくていい」と言われると心が休まるだとうと考え、みなさんもきっと同じではないかという思いが湧いてきました。たまたま、29日にロサンゼルスからアメリカのツアーを始める予定で、日本にトランジットで立ち寄る予定でしたので、そこで49日の法要を出来ればと思ったことが実現でき、とても嬉しく思っています。

そして、仏教徒の観点から申し上げますと、逆境に立たされた場合、それを自分が悟りにつながる道として使うことです。
シャーンティデーヴァの『入菩薩行論』にありますが、もし、何事かが起きて、それをなんとかする方法があるのなら、なんとかする。もし、方法がないのなら、それを必要以上に悲しむことはない。
起きてしまったことは、もう取り返しがつかない。落胆せず、先を見つめて、復興に向けて出来る限り努力をして欲しい。

また、学校などを訪問したとき、みなさんにこういいます。
英語をぜひ勉強してほしい。

そこで少し英語でお話しますと、私の英語は本当にたいしたことはありませんが、この程度の英語でも、世界の各国で直接お話しをするのに大変役に立っています。

チベットという自分の国をなくして、たくさんの困難にあってきましたが、そのような困難な時代を過ごしたことによって、より強く、自分の心の力を高めることが出来たと思っています。どうか、困難の中、悲劇に打ち負かされず、心の内なる力を高めていってください。

特に日本は、第二次世界大戦で多くの破壊を受け、原爆の悲劇も受けた中、立派に立ち上がった民族であります。前向きな姿勢で、ぜひ進んでいって欲しいです。
はかりしれない心の力をもっていると思います。

地球温暖化という問題を抱えている中で、今後もこのような災害は起きてきます。
心の中で準備をし、起きてしまったらその原因を調べ、どのように対処するかをきちんとすることです。

未来にいっさい保障はありません。常に物事は変化します。新しい現実に直面する準備をする必要があります。

日本の学生さんには、ぜひ、英語力をぜひ高めて欲しいです。日本のみなさんの技術を、日本以外の国に活かして欲しいです。日本の方は、環境を破壊することなく、土地を活かす能力にたけているので、その力をぜひ活かして欲しい。


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