次号(11月末日発売)のスターピープルでインタビューさせていただいている、文化人類学者であり大学教授の辻信一さんが、10月15日、新宿紀伊国屋ホールで、新刊『ナマケモノ教授のぶらぶら人類学』(素敬パブリッシング)の出版記念お話会を催した。
この日、辻先生は着物姿で登場。そして「現代社会の人たちは、降りていく生き方を考えるべきだ」と話された。
これまで前向き、上昇志向というものが人々を動かしてきたけれど、すべてにおいて過剰な社会は、そう簡単には正せない。それを抑制するのが、否定的だと言われる3S(スロー、スモール、シンプル)なのではないかと。上へ上へというマインドセットから抜けたところに、バランスが取れた世界があるのではないのかと言う。『ナマケモノ教授のぶらぶら人類学』でも、「スローダウンするだけで、人生はどんなに豊かになるだろう」と辻先生は書かれているが、正にそれが、今後私たちが幸せに生きるために必要なことなのだ。
お話会のゲストは、スタンダップ・コメディアンの松元ヒロさんと、ヴォーカリストの鈴木重子さん。「言いたいことが言えないテレビには出ない」と言うヒロさんは、やはりテレビでは言えないような政治ネタ、原発ネタで笑わせながら、いまの日本を風刺する。鈴木重子さんは、アカペラで『アメイジング・グレース』を歌ったあと、ギタリストの松谷冬太さんとともに、ジョン・レノンの『イマジン』を披露。ギターの音と二人のハーモニーに、会場は感動に包まれた。
お三方の、時にチグハグなやり取りも面白く、アットホームな雰囲気の中、これからの私たちの生き方について、深く考えさせられた2時間だった。
(スタピ編集長)
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